毛嚢炎が繰り返すのはなぜ？繰り返す原因と対処・予防方法を解説

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ムダ毛処理後に何度も毛嚢炎を繰り返すと、うんざりした気分になります。また、毛嚢炎がある状態なのにムダ毛を剃らなければいけないことは、ストレスを感じるものです。

一度できるとなかなか治りにくく、繰り返しできる毛嚢炎には、正しい治し方や予防方法があります。つぶしてしまうと跡になったり、繰り返したりする原因になります。

毛嚢炎に悩まされている人は、毛嚢炎の原因や治し方について確認していきましょう。

毛嚢炎とは、毛穴の奥にある毛嚢・毛包に膿が溜まり、炎症が起きる状態を言います。毛嚢炎はニキビのような見た目で、顔や陰部などのムダ毛処理の後に起こりやすい肌トラブルのひとつです。 

毛嚢炎は、自分の体に存在している黄色ブドウ球菌や、表皮ブドウ球菌が原因で傷ついた皮膚から肌内部に侵入し炎症を発生させます。 

軽いものなら自然におさまりますが、痛みが強い場合や腫れが大きくなるような場合には病院で治療を受ける必要があります。日常生活の中でも起こりやすいとされる毛嚢炎は、できてしまった場合には適切な対処が大切です。

ブドウ球菌は、人の鼻の中に生息している細菌です。ブドウ球菌の特性には、衛生状態が悪い環境で繁殖しやすい傾向があります。そのため、毛嚢炎を予防するためには、清潔な状態を保つことが大切です。

毛嚢炎を繰り返してしまうのには、原因菌が繁殖しやすいといった共通点があります。それぞれの原因について確認していきましょう。

逆反りとは、毛の流れに逆らって剃り上げる方法です。逆反りは、スムーズに毛が剃れないため、毛穴周辺の肌がつきやすい傾向があります。傷ついた肌には原因菌が侵入しやすいため、毛嚢炎が繰り返しできる原因になると言えるでしょう。

脱毛器具が不衛生な場合、原因菌が繁殖しやすくなります。どのような部分が不潔になるのか、使うことの多い器具を例に見てみましょう。

カミソリの刃の部分は、湿気がたまりやすいため、黄色ブドウ球菌などの菌が繁殖しやすくなります。カミソリを使用した後には、しっかり水気を切って保管することが大切です。

シェーバーの場合には、直接肌に触れる部分や内部の刃が不衛生になりやすい傾向があります。特に刃の部分は、直接触れて洗うことができないタイプも多いため、専用の洗浄液などを使って清潔にすることが大切です。

黄色ブドウ球菌などの細菌は、皮脂や古い角質を餌にして繁殖するため、上記のような不衛生な肌環境で繁殖しやすくなります。

洗顔や手洗いをしっかりすることや、むやみに顔を触らないなどすることが重要です。

体の抵抗力が落ちている時には、肌のバリア機能が低下し、原因菌が肌に侵入しやすくなります。肌のバリア機能は、皮膚の表面を覆う皮脂膜部分を弱酸性に保っており、細菌をブロックしています。

抵抗力が落ちる原因は、以下の通りです。

ストレスは人間の体のバランスを保つ自律神経を乱すため、抵抗力が落ちる原因になります。自律神経が乱れることによって、肌のバリア機能は低下し慢性的に毛嚢炎が起こりやすくなります。

また、睡眠不足の場合には体内のリズムが狂うため、免疫機能の働きが弱くなります。そのため肌のバリア機能が低下し、毛嚢炎が起きやすくなります。

体の抵抗力が落ちている場合には、原因菌が肌に侵入しやすくなるため、毛嚢炎が繰り返しできる原因になると言えるでしょう。

毛嚢炎ができる毛嚢（毛包）は、毛を包み込む部分です。毛穴の中に必ず存在するため、毛穴があればどこでも発症する可能性があります。

とはいえ、細菌が繁殖しやすい箇所や皮膚に傷がつきやすい箇所など、毛嚢炎のできやすい部分があります。どのような部分なのか、それぞれ確認していきましょう。

ヒゲ剃り部分は、肌に傷がつきやすいため、毛嚢炎ができやすいです。ヒゲ剃りの際には、目に見えない細かな傷ができます。その傷から菌が肌内部に入り込み、炎症を起こしてしまうのです。

皮膚が汗で湿った状態になると、肌表面にいる原因菌が毛穴に侵入し、毛嚢炎ができやすくなります。また、皮脂の分泌量が多い場所には、脂漏性皮膚炎が生じる可能性もあります。脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多すぎることが原因で、炎症を起こしてかゆみが発生します。

衣服で擦れやすい部分は、肌に細かい傷ができやすいため、毛嚢炎ができやすい傾向です。傷ついた部分に細菌が侵入してしまい、気付かないうちに炎症が起きている場合もあります。

サイズが合わない洋服や硬めの生地は肌が擦れやすいため、注意が必要です。

毛嚢炎は、自分でケアすることもできます。ただし、毛嚢炎の見た目はニキビやあせもなどの肌トラブルと似ているため、対処方法を間違えないことが重要です。治し方や注意点について確認していきましょう。

毛嚢炎を治すには、できてしまった毛嚢炎への対処や、発症しないようにする事前の対処など、それぞれ特徴が異なります。1つずつ確認していきましょう。

毛嚢炎は、清潔な状態を保つことで治りが早くなります。患部に触れることで、原因菌が侵入し症状が悪化する可能性があるからです。膿が溜まった状態になる毛嚢炎は、潰してしまうと余計治りが遅くなり、炎症が悪化した場合には跡になります。

定期的に洗浄したり、汗をかいたらすぐに拭いたりして、患部には触らず清潔に保つようにしましょう。

生活習慣の改善は、毛嚢炎を予防する上で1番大切です。毛嚢炎は、自律神経が乱れたり肌のコンディションが悪かったりなど不健康な状態になるとできやすくなります。

そのため、健康的な生活を意識して栄養バランスの整った食生活や睡眠時間の確保など、偏った生活をしないことが重要です。体を健康な状態に保つための生活習慣の改善は、毛嚢炎を予防したい人におすすめの方法と言えます。

軽い場合には自然におさまることも多い毛嚢炎ですが、様子を見ても治りそうにない場合には市販薬を使うのも良いでしょう。毛嚢炎に対応する塗り薬は、雑菌の繁殖を防ぎかつ炎症を抑える作用があるため、早く症状を治す効果が期待できます

たとえば、「フルオシノロンアセトニド」「ヒドロコルチゾン」などのステロイドや、「フラジオマイシン」「オキシテトラサイクリン」という抗生物質が配合された製品があります。

毛嚢炎は一見すると、ニキビやあせもなどの肌トラブルと似ています。毛嚢炎と思っていても実は違うものだったということもあるため、どのような症状なのか把握する必要があります。毛嚢炎とそれぞれの疾患の違いについて確認していきましょう。

ニキビは、アクネ菌が原因で起こる炎症疾患です。ニキビの見た目は、毛嚢炎と似ているため区別がつきにくい傾向があります。ニキビの原因は、毛穴の中に皮脂が詰まり、アクネ菌が増殖することにあります。ニキビは炎症や腫れを引き起こし、顔、背中、胸、お尻などさまざまな場所にできる症状です。

毛嚢炎とニキビは、発生する根本的な原因は異なりますが、不衛生な状態で発症しやすい特徴は同じです。予防や対処には、衛生状態を保つことが大切です。

あせもは、汗の通り道が塞がれてしまい、黄色ブドウ球菌などの原因菌が感染して発症する症状です。あせもの見た目の特徴には、プツプツと米粒大の腫れが複数できる点が挙げられます。あせもには、強いかゆみが伴いますが、掻いてしまうと悪化する可能性があります。

小さめの腫れがたくさんできた時には、汗をすぐ拭く習慣をつけて患部を清潔に保つことが大切です。

マラセチア毛包炎は、マラセチア菌というカビによって発症する炎症疾患です。マラセチア毛包炎の見た目の特徴には、毛嚢炎より小さめの腫れで赤みが強い点が挙げられます。マラセチア毛包炎には、皮脂の出やすい背中、上腕、肩などの場所にできる傾向があります。

毛嚢炎は、放置して症状が悪化した場合には、皮膚膿瘍になってしまうこともあります。そうなると、自力で治すことはできないため、医師の診断を受けましょう。なお、病院では細菌検査を行い適した外用薬・内服薬が処方されます。

それぞれの処置方法について確認していきましょう。

軽度の症状では検査は行われませんが、重度の症状の場合には、培養検査が行われます。膿疱の膿を培養し検査することで、どの菌に感染しているかがわかります。

検査の結果を参考に治療に使用する抗菌薬が選ばれますが、治りが遅い場合や有効でないと判断された場合には薬剤感受性検査によって薬を変えることもあります。

毛嚢炎で処方される外用薬は塗り薬です。毛嚢炎の際には、黄色ブドウ球菌に感染していることが多いため、原因菌に対して効果のある「クリンダマイシン」や「ナジフロキサシン」などの抗菌薬が入った塗り薬が処方されることが多くあります。

なお、外用薬に含まれる抗菌薬は、それぞれ成分や効能・用法が異なります。それぞれの抗菌薬について確認していきましょう。

クリンダマイシンは、かゆみや発疹などのアレルギー症状を抑える効果がある塗り薬です。細菌の蛋白質合成阻害をするため、原因菌を殺菌できます。1日2回、患部に直接塗布します。

ナジフロキサシンは、細菌のDNA複製を阻害する抗菌剤で、ニキビの治療などにも頻繁に利用されています。ナジフロキサシンが含まれた製品は、「アクアチム」という名前で、クリームやローションタイプが処方されており、1日2回患部に直接塗布します。

内服薬は、広範囲で毛嚢炎が発症している場合に処方される飲み薬です。内服薬は、抗菌剤のセファレキシンなどが含まれており、全身の治療に特化しています。

セファレキシンは、さまざまな細菌感染症に使われる抗生物質です。セファレキシンの飲み方は、症状によって異なります。処方された際には、用法用量を確認した上で服用しましょう。

なお、セファレキシンには、吐き気や下痢といった副作用が現れることがあるため注意が必要です。

二種類の構成物質を配合したドルマイシン軟膏。最大の特徴は、さまざまな菌に対して抗菌作用がある点です。ドルマイシン軟膏は、火傷、湿疹、化膿症、せつ、よう、ちょう、皮膚潰瘍など、幅広い皮膚疾患に対応可能な第二類医薬品です。使い方は、1日1〜3回を目安に、適量を患部に直接かガーゼで塗布します。

ポリミキシンB硫酸塩とオキシテトラサイクリン硫酸塩の2つの抗生物質を配合したテラマイシン軟膏a。とびひ、めんちょう、毛嚢炎などの化膿性皮膚疾患に効果があります。テラマイシン軟膏aは、1日1~数回程度、患部に直接塗布するかガーゼに塗って貼り付けます。

ベタメタゾン吉草酸エステル（ステロイド成分）を配合したベトネベートN軟膏AS。しっしん、かぶれ、皮膚炎、あせも、毛嚢炎、とびひなど幅広い皮膚疾患に対応しています。患部を保護する油性基剤のため、化膿して水分の多い患部にも利用できます。

毛嚢炎の予防方法は、ムダ毛処理の道具を清潔にしたり、除毛の際に工夫したりする簡単なやり方ばかりです。それぞれの予防方法について確認していきましょう。

ムダ毛処理の道具を清潔にすることで毛嚢炎の原因になる細菌の繁殖を抑えられます。頻繁に使う「カミソリ」と「電気シェーバー」のお手入れ方法について確認していきましょう。

カミソリをムダ毛処理に使用した後は、流水で洗い流しましょう。洗い流す際に大切なのは、流水をさまざまな角度から刃に当ててムダ毛や角質が残らないようにすることです。ムダ毛や角質が残っていると、細菌が繁殖する原因になります。

洗い終わったあとは十分乾燥させることが大切です。しっかりと乾燥させるためには、専用のカミソリホルダーの利用がおすすめです。

なお、カミソリの保管の注意点として、浴室など水気が多い場所には置かないようにしましょう。浴室は、湿気がたまりやすいため、細菌が繁殖する可能性が高くなります。ムダ毛処理にカミソリを利用する場合は、しっかり洗い、しっかり乾燥させることが毛嚢炎の予防になることを覚えておきましょう。

電気シェーバーを利用した際には、水洗いか専用のクリーナーで内部にヒゲが残らないように洗浄しましょう。電気シェーバーの内部にヒゲくずが溜まった状態は、さまざまな雑菌が繁殖するため、ニキビや毛嚢炎の原因になります。

水洗い後には、湿気がない場所で電気シェーバーを乾燥させましょう。水気が少ない場所での保管がおすすめです。

また、電気シェーバーは、定期的にブラッシングすることで清潔な状態が保てます。ヘッドが外せるタイプの電気シェーバーなら、パーツごとにブラシをかけて、内部に溜まったヒゲくずを払い落としましょう。

毛の流れに沿ってシェービングをすれば、毛穴への負担が少なくなるため、毛嚢炎が起きにくくなります。

毛の流れに沿って剃る方法は、毛が生えている部分から毛先に向かってシェービングする「順反り」と呼ばれており、安全な剃毛方法です。一方で、毛先から毛穴に向かって剃り上げる方法は、「逆反り」と呼ばれており、出血やヒリヒリする原因となります。

また、毛の流れがわかりにくいヒゲをそる際には、手で撫でてみて引っかかりにくいほうが毛の流れていく方向です。引っかかりやすいほうは、逆反りになるため注意しましょう。

除毛した後は、肌が炎症を起こしている状態です。炎症がある状態のまま放置してしまうと、肌の状態が悪化し毛嚢炎になる可能性があります。除毛後には、濡れタオルや氷を使って冷やすようにしましょう。

ムダ毛処理の後に保湿することで、肌のコンディションを正常に保てます。ムダ毛処理の後は、皮膚が乾燥しやすい状態になり、細菌が繁殖する傾向があります。ムダ毛処理後には、化粧水やクリームを使って保湿を心がけましょう。

アルコールフリーの化粧水は、敏感肌でも利用できる刺激が少ないタイプの保湿製品です。アルコールは、肌につけた後に水分と一緒に蒸発してしまうため余計に乾燥してしまいます。保湿にはノンアルコールのタイプがおすすめです。

抗菌成分入りの化粧水は、殺菌作用があるため毛嚢炎にも効果があります。たとえば、ニキビ治療によく使われる「サリチル酸」には、黄色ブドウ球菌などにも効果があるため、毛嚢炎の予防効果が期待できます。また、化粧水によく配合されている「セラミド」や「和漢植物エキス」は、肌のバリア機能を高める作用があるためおすすめです。

大半の男性が毎日ヒゲ処理するアゴ周りは、毛嚢炎が発生する可能性が高いです。利用するヒゲ処理道具ごとの注意点を確認しておきましょう。

毛抜きでヒゲ処理する場合には、処置前に消毒し、処置後には保湿と冷却しましょう。毛抜きを利用した場合には、毛穴が大きく開いたり、肌に細かい傷がついたりして、細菌が侵入する可能性が高くなります。

また、毛抜きは肌に強い負荷を与えるため、ヒゲ処理にはあまり適していません。もし利用する場合には、処理前と処理後のケアをしっかりして、肌へのダメージを極力おさえましょう。

カミソリでヒゲ処理する際には、化粧水を利用した保湿が大切です。カミソリを使ったヒゲ処理では、皮膚の角質を削ってしまうため、肌の水分が抜けやすい傾向があります。

また、刃が劣化したカミソリは肌を傷付けます。カミソリの刃は定期的に交換して、切れ味がしっかりした状態で使用しましょう。

電気シェーバーは、定期的な掃除や刃の交換が大切です。長期間使わない場合には、刃の部分に細菌が大量に繁殖する可能性があります。電気シェーバーの刃は見えにくいため、2週間使ったら交換するなど、交換時期を事前に決めておくのが良いでしょう。

脱毛クリームは、刺激が強いためヒゲの処理には使用することができません。ヒゲ処理をする際には、カミソリや電気シェーバーなど安全に利用できる製品を選びましょう。

繰り返される毛嚢炎は、しっかり対処方法を把握しておくことで予防できます。ムダ毛処理方法ごとに大切な部分を実践し、毛嚢炎が発生しにくい環境を作ることが大切です。

また、万が一、毛嚢炎ができた際には、清潔な状態を保ち市販薬などを利用して、早めに治療しましょう。様子を見ても治らない場合には、病院に行って適切な処置をすることが大切です。